「遅れる可能性がある」と伝えたい時のビジネスメール例文と注意点

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「遅れる可能性がある」と伝えたい時のビジネスメール例文と注意点

業務を進める中で、スケジュール通りに対応できない場面は少なからず発生します。そうしたとき、遅れる可能性があることを相手にどのように伝えるかは、ビジネスパーソンとしての信頼に関わる重要なポイントです。特に、ビジネスメールでその旨を伝える際には、タイミングや言い回しに配慮しなければなりません。

本記事では、「遅れる可能性がある時のビジネスメール」を適切に送るためのマナーや表現方法、状況別の文例などを分かりやすくまとめています。相手に不安を与えず、円滑なコミュニケーションを維持するための参考にしてください。

この記事のポイント!

  • 遅れる可能性があることを伝える適切なタイミング
  • 相手に配慮したビジネスメールの言い回し
  • 状況別に使える具体的なメール文例
  • 社内外で使い分ける表現のコツ
目次

遅れる可能性があるビジネスメールの基本マナー

遅延を伝えるタイミングとその重要性

業務や納期の進行において**「遅れる可能性がある」と感じた時点で、すぐに相手へその旨を伝えることが重要**です。確定した遅延ではなくても、あらかじめ共有しておくことで、相手も心づもりができ、調整や準備をする余裕が生まれます。

このため、「遅れるかもしれない」という段階でも、先手を打って連絡を入れる姿勢が信頼構築の鍵となります。たとえば「進捗に若干の遅れが生じる可能性があるため、念のためお知らせいたします」といった予防的な表現が効果的です。

結果として問題がなかった場合でも、「事前に知らせてくれてありがたい」とポジティブに受け取られることが多く、マイナスにはなりません。

相手に配慮した言い回しのポイント

「遅れる可能性がある」という連絡は、相手に不安や不満を与えるおそれがあるため、言い回しには十分な配慮が必要です。状況を淡々と伝えるのではなく、相手の立場を考慮した丁寧な表現を心がけましょう。

例えば、「あくまで現時点での見通しですが」「万が一遅れる場合には、すぐにご連絡いたします」といった前置きを添えることで、柔らかく丁寧な印象を与えられます。

また、断定的な口調ではなく、あくまで**“可能性”であることを強調することで、相手の不安を和らげる効果**もあります。これは、相手に配慮したポライトネス理論に基づいた表現としても有効です【1】。

謝罪と理由説明のバランスを取るコツ

「遅れる可能性がある」と伝える際、必要以上に謝罪のトーンが強くなりすぎると、かえって不自然な印象を与えることがあります。一方で、理由を一切伝えないと誠意が感じられない可能性もあります。

そこで、「現時点では●●の影響により、予定より遅れる可能性がございます。ご迷惑をおかけしないよう努めておりますが、万一遅延となる場合はあらためてご連絡差し上げます」といったように、謝意と状況説明をバランスよく組み合わせると良いでしょう。

こうした説明と配慮の両立は、ビジネスメールにおいて「フェイス・ワーク(face-work)」を意識することと深く関係しています【2】。

今後の対応を明確に伝える工夫

「遅れる可能性がある」と伝えるメールでは、予測情報にとどまらず、その後どう行動するのかを明確にしておくことが大切です。対応策が見えている場合は、その内容を簡潔に書き添えることで、安心感を与えられます。

例えば、「◯日までの対応完了を目指して進めております。進捗に変動があれば随時ご報告いたします」と記載するだけでも、受け手の不安を和らげることができます

あいまいな表現を避け、具体的な見通しと行動方針を明示することが信頼の獲得につながります【2】。

緊急性がある場合の書き方の違い

遅れが発生する可能性があり、それが相手の業務に影響する場合は、緊急性を踏まえた表現を選ぶ必要があります。特に納期前日のような状況では、「今お伝えすべきことなのか」を見極め、迅速に共有する姿勢が求められます。

その際は、「現在、若干の遅れが発生する可能性がございます。進捗を注視しつつ対応を進めておりますので、進展があり次第ご報告いたします」といった文面が有効です。

また、メールと合わせて電話などの補足手段も使うことで、より誠意の伝わる対応となります。

相手の立場別に変える表現(上司・取引先など)

「遅れる可能性がある」と伝える際には、相手の立場に応じた配慮も重要です。上司に伝える場合は、自己判断ではなく報告・相談の姿勢を示すことが求められます。

例えば、「現時点での進捗から、納品が予定より遅れる可能性があるためご報告いたします。対応策としては〜を検討しております」といったように、事実+行動を簡潔に伝えましょう

一方、取引先には丁寧な敬語と共に「万が一〜となる場合には、速やかにご連絡差し上げます」といった安心感を与える言い回しが好まれます。相手に合わせたトーンの調整が、スムーズな関係維持に役立ちます。

遅れる可能性があるビジネスメールの具体例と注意点

遅延を伝えるメール文例【納期編】

件名:納品予定に関するご連絡

株式会社◯◯ ◯◯様

いつも大変お世話になっております。

現在、進行中の◯◯に関しまして、作業の一部に時間を要しており、納品が予定より遅れる可能性がございます。

引き続きスケジュール通りの納品を目指しておりますが、万一遅延が生じる場合には速やかにご連絡いたします。

ご迷惑をおかけしないよう尽力してまいりますので、何卒よろしくお願いいたします。


件名:納品時期変更のご連絡

株式会社△△ △△様

お世話になっております。

現在制作中の◯◯について、作業工程に一部変更が発生したため、納期が変更となる可能性がございます。

当初予定の◯月◯日納品に向けて対応を続けておりますが、万一変更となる際は速やかに詳細をご連絡申し上げます。

何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

遅延を伝えるメール文例【返信・対応編】

件名:ご対応予定に関するご案内

◯◯様

いつもお世話になっております。

ご依頼いただきました件につきまして、現在確認中ですが、内容によってはご返信に若干お時間を頂戴する可能性がございます。

なるべく早急に対応いたしますが、進捗がわかり次第あらためてご報告申し上げます。

ご不便をおかけしますが、何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。


件名:確認対応にお時間を要する件

△△様

いつもご連絡いただきありがとうございます。

ご質問いただいた件につきまして、関連部署との連携が必要なため、通常よりも確認にお時間をいただく可能性がございます。

正確な情報をお伝えするため、少々お時間を頂戴しますが、◯日までにはご返答できるよう進めております。

よろしくお願いいたします。

急ぎで対応できないときのメール例

件名:ご対応に関するご相談

◯◯様

お世話になっております。

本日中にご対応を希望いただいている件ですが、他の業務との兼ね合いにより、即日対応が難しい可能性がございます。

明日午前中には対応できるよう調整しております。ご希望に添えず申し訳ありませんが、何卒ご容赦賜りますようお願い申し上げます。


件名:本日の対応についてのご案内

△△様

いつもご依頼いただきありがとうございます。

ご指示いただいた件につきまして、本日中の完了を予定しておりましたが、内部確認に遅れが出ております。

そのため、対応が明日午前までずれ込む可能性がございます。状況が変わり次第、改めてご連絡差し上げます。

ご迷惑をおかけいたしますが、何卒よろしくお願い申し上げます。

当日連絡が必要なときの書き方

件名:【ご連絡】本日の進捗について

◯◯様

本日予定しておりました案件について、進行中の業務に若干の遅れが出ており、完了が明日にずれ込む可能性がございます。

現在、できる限り本日中の完了を目指しておりますが、万一の場合にはすぐに再度ご連絡差し上げます。

急なご連絡となり恐縮ですが、何卒よろしくお願い申し上げます。


件名:【急ぎのご連絡】本日の対応予定について

△△様

ご連絡ありがとうございます。

本日対応予定だった件に関し、資料手配に一部遅れが発生しております。

最善を尽くしておりますが、完了が明日午前にずれる可能性がございます。あらかじめご承知おきいただけますと幸いです。

どうぞよろしくお願いいたします。

書いてはいけないNG表現とは?

「遅れる可能性がある」と伝える際に避けるべき表現は多数あります。たとえば、「たぶん間に合わないかも」「うまくいけば大丈夫だと思います」など、曖昧で責任感の感じられない言い回しは、相手に不安を与える要因になります。

また、「とにかく今は無理です」といった一方的な表現も、印象を悪くする原因です。可能性を伝える際は、「念のため」「可能性があるため」など、丁寧かつ説明責任を意識した言い回しに置き換えましょう

社内・社外で使い分けるべき表現例

「遅れる可能性がある」と伝えるメールでは、社内外でトーンの使い分けが求められます。社外向けには丁寧で慎重な言い回しが基本となり、社内では要点を簡潔に伝えることが重視されます。

例えば社外には、「現在、納品に若干の遅れが生じる可能性がございますため、念のためご連絡申し上げます」といった文面が適しています。

一方、社内であれば「現時点で納品が遅れる可能性あり。◯日対応見込み」といったシンプルな連絡でも十分です。伝える相手に応じた調整を心がけましょう


参考文献

【1】昭和女子大学 『ビジネスメールにおける日本語の対人配慮の示し方』 https://swu.repo.nii.ac.jp/record/163/files/2015-5.pdf

【2】早稲田大学大学院 『コミュニケーション行為としての日本語ビジネスメールに関する研究』 https://waseda.repo.nii.ac.jp/record/78403/files/Honbun-9210.pdf

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