自分の事をどう書く?ビジネスメールの敬語と言い換え

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自分の事をどう書く?ビジネスメールの敬語と言い換え

ビジネスメールでは、言葉の選び方ひとつで相手に与える印象が大きく変わります。中でも「自分の事」をどう伝えるかは、丁寧さや信頼感に直結する大切なポイントです。曖昧な表現や不適切な一人称は、相手に違和感や不快感を与えてしまう可能性があります。そこで本記事では、「ビジネスメールで自分の事」の表現に悩む方に向けて、正しい言い換えや敬語の使い方、注意点などをわかりやすく解説します。伝わりやすく、かつ配慮のあるメール文を作成するためのヒントを、例文を交えながらご紹介します。

この記事のポイント!

  • ビジネスメールでの適切な一人称の使い方
  • 「自分の事」の丁寧な言い換え表現
  • 相手に配慮した文章構成と敬語の使い分け
  • 信頼される自己紹介や提案の書き方
目次

ビジネスメールで自分の事を適切に伝えるには

なぜ「自分の事」の表現が重要なのか

アカネ

このメール、“自分が伺います”って書いたんだけど、ちょっと違和感あるって言われて…なにがまずかったのかな…?

コトネ

自分”は口語っぽくて、相手によっては馴れ馴れしい印象にもなります。“私”や“当方”を使った方が、丁寧で誤解も避けられるわね。

ビジネスメールでは、表現一つで相手に与える印象が大きく変わります。とくに「自分のこと」の伝え方は、メールの信頼性や礼儀正しさを左右する要素です。

例えば、「私」「当方」「自分」などの一人称を状況に応じて使い分けることで、相手に丁寧で配慮ある印象を与えることができます。初対面の相手であれば、よりフォーマルで中立的な表現を選ぶことが望まれます【1】

不適切な言葉遣いは、意図せず相手を不快にさせてしまう場合もあります。そのため、メールでは丁寧で明確な表現を意識することが求められます。

一人称の使い分け:「私」「当方」「小職」など

アカネ

“オレ”が言いやすいけど…ビジネスではNGだよね?

コトネ

“オレ”はカジュアルすぎて不適切です。“私”を基本に、相手や場面で“当方”などを使い分けましょう。

一人称の選択は、相手との関係性や場面のフォーマルさによって変える必要があります。最も一般的なのは「私」ですが、「当方」や「小職」など、よりへりくだった表現もあります。

「当方」は、ビジネスメールで丁寧さを示したいときに適しており、相手に対する敬意を示す効果があります。「小職」はやや古風で、主に官公庁や保守的な業界で使われる表現です【1】

このような使い分けを理解しておくことで、文面が洗練され、信頼性が高まります

一人称表現使用シーン・特徴注意点
一般的でどの場面でも使いやすいややカジュアルに感じられる場合もある
当方自分側をへりくだって表す丁寧な言い回し過度に使うと不自然になることもある
小職公的・フォーマルな場面、官公庁・保守業界で使用古風な印象、現代ビジネスではやや堅い
一人称ごとの特徴や使用シーン

自分のこと 言い換え ビジネスで使える具体例

アカネ

あっ、また“自分”って言っちゃった……普段使ってるからクセになるなあ…!

コトネ

ビジネスでは、相手に伝わりやすく、丁寧に感じる言い換えがポイントです。“当方”や“私”を使えば、落ち着いた印象になりますよ。

「自分のこと」と言ってしまうと、ビジネスの場ではやや曖昧かつ幼稚な印象を与えることがあります。そのため、状況に合った丁寧な言い換え表現を使うことが望まれます。

  • 自分が行いました → 当方にて対応いたしました/私が担当いたしました
  • 自分の意見としては → 私見ではございますが/個人的な見解として申し上げますと
  • 自分が伺います → 私が訪問させていただきます/当方よりお伺いいたします
  • 自分の担当です → 担当を務めております/担当させていただいております
  • 自分のスケジュールでは → 私の予定といたしましては/当方の都合ではございますが

このような言い換えに慣れることで、表現の幅が広がり、場にふさわしいメール文が書けるようになります【2】

自己紹介メールでの自分の立場の伝え方

アカネ

初めましてのメールって、どこから名乗ればいいのか迷っちゃって…後ろの方に書いちゃった…!

コトネ

はじめに“会社・部署・名前”を名乗ると、相手もすぐに安心できますよ。“名乗らないメール”は相手が不安になりますからね。

自己紹介を含むメールでは、自分の所属・氏名・役割を正確かつ丁寧に伝える必要があります。これにより、相手に安心感を与え、ビジネスの第一印象を良くする効果が期待できます。

基本の構成は「会社名」「部署・役職」「名前」「担当業務」の順番です。例えば、「株式会社○○の営業部に所属しております、○○と申します。」といった形が自然です【3】

あいさつ文に加え、「このたび、貴社ご担当として業務を進めさせていただくことになりました」「今後の窓口としてご対応させていただきます」など、相手が安心してやり取りできる表現を入れるとよいでしょう。

自分の考えや意見を丁寧に伝える表現

アカネ

ちょっと気になる点があるけど…ハッキリ言ったら角が立つかなって思って…

コトネ

“私見ですが”“恐れながら”などのクッション言葉を添えると、配慮ある伝え方になりますよ。

ビジネスの場では、自分の意見を伝える際も配慮が求められます。単刀直入な表現ではなく、クッション言葉を加えることで柔らかく丁寧な印象になります。

以下のような表現がよく使われます:

  • 「私見ではございますが、〇〇と考えております」
  • 「恐れながら申し上げますと、〇〇の可能性もあるかと存じます」
  • 「あくまで一つのご提案として申し上げますが、〇〇はいかがでしょうか」
  • 「率直に申し上げますと、〇〇に懸念を抱いております」

相手に敬意を払いながら、自分の立場や意見を示すことが信頼構築につながります【4】

直接的な言い方丁寧な言い換え・クッション表現
私は〜と思います私見ではございますが/恐れながら申し上げますと〜
〇〇すべきです一つのご提案として申し上げますが、〇〇はいかがでしょうか
〇〇が問題です率直に申し上げますと、〇〇に懸念を抱いております
自分の考えや意見を丁寧に伝える表現

提案・希望を伝えるときの注意点

アカネ

相手にお願いしたいんだけど、なんか命令っぽく聞こえたら嫌だなって…

コトネ

“ご検討いただけますと幸いです”などの依頼表現を使うと、やさしく丁寧に伝わりますよ。

提案や希望を伝えるときは、相手に配慮した言葉選びと構成が欠かせません。強制的な印象を与えないよう、柔らかい依頼表現を使うことが重要です。

使える表現の例:

  • 「〇〇をご検討いただけますと幸いです」
  • 「差し支えなければ、〇〇のご調整をお願いできますでしょうか」
  • 「一つのご提案として、〇〇もご参考までにご覧ください」
  • 「可能であれば、〇〇の件についてご意見を賜れますと幸いです」

これらの表現により、相手に配慮した姿勢が伝わり、建設的なやりとりが生まれます【5】

目的・意図丁寧な表現例
提案をする一つのご提案として、〇〇もご参考までにご覧ください
希望を伝える〇〇をご検討いただけますと幸いです
日程などの調整を依頼する差し支えなければ、〇〇のご調整をお願いできますでしょうか
意見を求める〇〇の件についてご意見を賜れますと幸いです
提案・希望を伝えるときの注意点

相手に配慮した文章構成のコツ

アカネ

時間もないし、すぐ本題に入った方が効率よくない?

コトネ

相手がいる文章では、まず“お礼”や“お詫び”を入れてワンクッション置くのが丁寧なんですよ。

ビジネスメール全体を通して、相手を意識した構成を心がけることが大切です。文頭で相手に対する配慮や感謝を述べ、その後に本題を伝え、最後に締めの挨拶をする構成が基本です。

相手への敬意を表すと同時に、読みやすさを高めることができます【3】。また、段落を使って論点を明確に分けることで、文章全体の印象もよくなります

ビジネスメール 自分の事で失敗しないために

避けるべきカジュアルな言い回し

アカネ

え、あれ?“〜っす”って軽すぎたかな…?なんかフレンドリーでいいかと思って…!

コトネ

ビジネスではフレンドリーより丁寧さが大事です。“〜と存じます”などを使えば、印象がまったく違いますよ。

「〜っす」「自分的には」など、日常会話の延長で用いるようなカジュアルな言い回しは不適切です。読み手に軽率な印象を与えてしまいます

その代わりに、「〜と考えております」「〜と存じます」といった丁寧な表現を選ぶことで、信頼感を損なわずに意見を伝えられます【1】

社外の相手には特に注意が必要です。文体は、自社の品位を代表するものと考えるべきです。

NG表現適切な言い換え(ビジネス向け)
自分的には私見ではございますが
〜っす使用不可、敬語に言い換えるべき
〜と思います〜と考えております/〜と存じます
とりま/とにかく差し当たり/まずは
NG表現と適切な言い換え

謙譲語と尊敬語の正しい使い方

アカネ

“申しました”って丁寧な言い方だから、上司にも使っていいんだよね?

コトネ

“申す”は“自分”をへりくだる言葉です。相手や上司には“おっしゃる”などの尊敬語を使いましょう。

敬語は「丁寧語」「尊敬語」「謙譲語」に分類され、自分の行動には謙譲語を、相手の行動には尊敬語を使うのが原則です。

例えば、「申します」「伺います」は謙譲語で、自分をへりくだる表現です。一方、「おっしゃる」「いらっしゃる」は尊敬語で、相手を立てる言い方です。

敬語の誤用は失礼になるだけでなく、相手に違和感を与えることもあるため、場面に合った使い分けが必要です【1】

意味自分に使う表現(謙譲語)相手に使う表現(尊敬語)
言う申しますおっしゃいます
行く/来る伺います/参りますいらっしゃいます
見る拝見しますご覧になります
聞く/訪問する伺いますお聞きになります(尊敬語で稀)
するいたします/させていただきますなさいます
敬語の種類ごとの動詞

自分語りにならないようにする工夫

アカネ

つい話しすぎちゃった…でも、ちゃんと伝わったかな?

コトネ

共感は大切ですが、メールでは“必要な情報”を優先して、個人的な話は控えめにしましょう。

ビジネスメールでは、伝えるべき情報に焦点を絞り、個人的な感情や背景の描写は最小限にとどめるのが基本です。

とはいえ、適度な人間味が必要な場面もあるため、バランスが重要です。常に**「相手にとって必要な情報か?」という視点**を持って文章を構成するとよいでしょう【2】

この工夫によって、信頼感を損なわずに、読み手に配慮した文面を構築できます

文章全体の印象を良くするポイント

アカネ

読みにくい…って言われたけど、どこが!?

コトネ

見た目と流れ、整えるだけで変わりますよ

誤字脱字のない、整理されたレイアウトのメールは、読みやすさと信頼感を高めます

1段落1要点を意識して文章を分ける、適切な敬語を使うなど、細かな配慮がメール全体の印象を左右します【3】

特に初回のやり取りでは、文面が相手の第一印象となるため、丁寧な構成を心がけましょう

実際に使えるメール例文とテンプレート

以下は、前述のポイントを活かした自己紹介メールの例です。

件名:ご挨拶(株式会社〇〇 〇〇)

株式会社△△ 〇〇様

はじめまして。株式会社〇〇 営業部の〇〇と申します。

このたび、貴社ご担当として今後の窓口を務めさせていただくこととなりました。何卒よろしくお願いいたします。

さっそくではございますが、以下の件についてご確認をお願い申し上げます。

(本文)

ご不明点等ございましたら、お気軽にご連絡ください。

今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。


【別パターン:納期確認メール

件名:納期のご確認のお願い(株式会社〇〇 〇〇)

株式会社△△ 〇〇様

いつも大変お世話になっております。

株式会社〇〇の〇〇でございます。

〇月〇日納品予定の件につきまして、現在の進捗状況についてご確認させていただきたく存じます。

お忙しいところ恐縮ではございますが、ご対応のほどよろしくお願い申し上げます。

何卒よろしくお願いいたします。


このように、丁寧な言葉遣いと構成を意識することで、信頼感のあるメールが作成できます

よくある質問(Q&A)

ビジネスメールで「自分」と「私」はどう違いますか?

「私」は一般的な一人称として使われますが、「自分」はカジュアルな印象や話し言葉に近いため、ビジネスメールでは避けるのが無難です。

社内メールでも「当方」などの丁寧な一人称を使うべきですか?

社内の場合は「私」で十分ですが、上司や役職者に送る場合は「当方」や「私ども」を使うとより丁寧な印象を与えます。

チーム全体の意見を伝えるときは一人称をどうすればよいですか?

「私ども」「弊社」「当部署」といった団体を示す一人称が適しています。個人の意見とは明確に区別しましょう。

自己紹介メールに個人的なエピソードを入れてもいいですか?

基本的には不要です。ビジネスでは、役職・業務範囲・担当目的など、必要な情報を簡潔に伝えることが重要です。

自分の意見に自信がないとき、どう表現すれば良いですか?

「恐縮ですが」「私見ではございますが」「〜かと存じます」といった控えめな表現を使うと、柔らかく伝えられます。

相手に失礼にならずに自分の要望を通すには?

「ご無理のない範囲で」「可能であれば」「ご一考いただければ幸いです」など、選択肢を与える依頼文が有効です。

一人称の使い方で間違えると印象はどれほど悪くなりますか?

場合によっては「失礼」「軽率」と見なされることがあります。特に初対面や社外宛では第一印象を大きく左右します。

定型の表現だけだと機械的になりませんか?

そう感じたときは、文末に一言だけ「感謝」や「配慮」の気持ちを添えると、自然な温かみが出ます(例:「引き続きよろしくお願いいたします」など)。

自分の事をどう書く?ビジネスメールの敬語と言い換え まとめ

  • 一人称の使い分けは相手や場面に応じて適切に選ぶ必要がある
  • 「自分のこと」は直接的な表現を避け丁寧に言い換えるべきである
  • ビジネスメールでは自己紹介に会社名・部署・役職・担当を明確に示す
  • 自分の意見を述べる際にはクッション言葉を使って配慮を示す
  • 提案や希望は柔らかい依頼表現を用いて押し付けがましくならないようにする
  • メール構成は「挨拶→本題→締め」の順で相手に配慮した構成にする
  • カジュアルな言い回しは避け、丁寧な文体を徹底する必要がある
  • 敬語の使い分け(謙譲語・尊敬語)を正しく理解し誤用を避ける
  • 自分語りは控え、情報の取捨選択を意識して簡潔に伝えることが重要
  • 例文を活用することでメールの文体や構成の実例が把握しやすくなる

参考文献一覧(PDF)

【1】李 婷(2023)『ビジネスメールにおけるメタ言語表現から読み取れる待遇意識』https://www.jstage.jst.go.jp/article/tcg/20/0/20_51/_pdf

【2】横川未奈『日本語によるビジネスEメールの配慮言語行動を示す際にビジネスパーソンが抱える困難点』https://business-japanese.net/journal/BJ005/4_yokokawa.pdf

【3】木村雅子(2015)『メール文における読み手配慮表現の指導について』https://ynu.repo.nii.ac.jp/record/2001019/files/tokiwanomori11_02.pdf

【4】平松 友紀(2023)『コミュニケーション行為としての日本語ビジネスメールに関する研究』https://waseda.repo.nii.ac.jp/record/78403/files/Honbun-9210.pdf

【5】中島志保(2017)『ビジネスメールにおける日本語の対人配慮の示し方』https://swu.repo.nii.ac.jp/record/163/files/2015-5.pdf


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