ビジネスシーンでは、しばらく連絡を取っていなかった相手に対して、どのようにメールを始めるべきか悩むことがあります。特に「ご無沙汰しております」という表現を使う場面では、言葉選びや文面のトーンに慎重さが求められます。久しぶりのやり取りだからこそ、丁寧かつ自然な文章で相手に好印象を与えたいものです。
本記事では、「ご無沙汰しております」と伝えたい時のビジネスメールの適切な使い方や例文、言い換え表現などをわかりやすく解説します。久々のメールでもスムーズにやり取りを再開できるよう、実用的なポイントをお届けします。
- 「ご無沙汰しております」の正しい使い方
- 適切な使用タイミングと注意点
- 書き出しや締めくくりの文例
- 目上の相手や返信時の表現方法
ビジネスメールご無沙汰しておりますの基本マナーと使い方
ご無沙汰しております メール 例文の使い方

ビジネスメールにおいて「ご無沙汰しております」は、久しぶりに連絡を取る相手に対する丁寧な挨拶として使われます。適切に使うことで、印象を良くしつつ、自然に会話を再開できます。
まず、書き出しに「ご無沙汰しております。○○株式会社の△△です。」と名乗りを加えるのが一般的です。その後に、過去の関係性や連絡の空白期間について軽く触れると丁寧な印象になります。
例文:
- ご無沙汰しております。株式会社〇〇の△△でございます。
- 前回のご連絡から日が空いてしまい、大変失礼いたしました。
- ご無沙汰しております。以前は大変お世話になりました。
- ご無沙汰しております。ご健勝のこととお喜び申し上げます。
- ご無沙汰しております。○○の件以来のご連絡となります。
- ご無沙汰しておりますが、○○様にはお変わりございませんか。
ポイント:
- 名乗りと挨拶を同時に行うとスムーズ
- 相手への配慮や空白期間への言及を忘れずに
加えて、導入文では現在の自社状況や相手との関係性を簡潔に述べると、本文への流れがより自然になります。
ビジネスメールにおいては、定型的な挨拶表現が円滑な関係の再構築に役立つとされています【1】。
ご無沙汰しておりますと言うべき期間と状況

「ご無沙汰しております」は、前回の連絡から2〜3ヶ月以上空いた際に使うのが目安です。
1週間程度の短いブランクでは、形式ばり過ぎた印象を与える可能性があります。逆に、数ヶ月から1年以上連絡をしていない場合には、冒頭でお詫びを添えるのが望ましいです。
例文:
- 長らくご無沙汰しております。
- 数か月ぶりのご連絡となり、大変恐縮でございます。
- 本来であれば早くご連絡すべきところ、大変失礼いたしました。
- ご無沙汰のままとなってしまい、申し訳ございません。
- お時間をあけてしまい、誠に申し訳ありませんでした。
- お久しぶりでございます。ご連絡が遅れ失礼いたしました。
ポイント:
- ブランクが長いほど丁寧な表現が求められる
- 相手の立場や状況を意識した言い回しにする
相手がビジネスパートナーや顧客の場合は、以前の取引ややり取りを簡単に振り返ることで関係の継続性を印象づけることも有効です。
特に対人関係の距離がある場合、文面での距離感調整が信頼構築に影響を与えることが論じられています【2】。
ご無沙汰しております 言い換え表現とその使い方

「ご無沙汰しております」の代わりになる表現には、「しばらくご連絡できず申し訳ございません」「久方ぶりのご連絡となり失礼いたします」「お久しぶりです」などがあります。
例文:
- しばらくご連絡ができず、大変失礼いたしました。
- 久方ぶりのご連絡となり恐縮ですが、○○の件でご相談がございます。
- 前回のご挨拶から日が空いてしまい、申し訳ありません。
- 長い間ご連絡を差し上げず、失礼いたしました。
- ご無音のお詫びを申し上げます。
- ご連絡が滞ってしまい、心よりお詫び申し上げます。
- ご無音となっておりましたこと、深くお詫び申し上げます。
- 音信不通のままとなってしまい、誠に失礼いたしました。
- 長期間ご連絡を差し上げておらず、恐縮しております。
- ご連絡が遅くなり、大変失礼いたしました。
ポイント:
- フォーマルな表現は目上の相手に適する
- カジュアルな表現はビジネスでは控える
同様の意味を持つ表現でも語調や印象が異なるため、相手との関係性を考慮して使い分けましょう。
表現 | 適した相手 | 備考 |
---|---|---|
ご無沙汰しております | 一般的〜やや丁寧 | 広く使える標準表現 |
しばらくご連絡できず申し訳ございません | 目上・社外 | より丁寧な印象を与える |
お久しぶりです | 同僚・親しい関係 | カジュアルで親しみある表現 |
ビジネスメールご無沙汰しておりますの実践的な書き方
ご無沙汰しております メールの自然な書き出し

ビジネスメールの書き出しは、全体の印象を左右する重要なポイントです。
自然な書き出しとしては、「ご無沙汰しております。○○株式会社の□□でございます。」のように、挨拶と名乗りを一文にまとめるのが効果的です。
例文:
- ご無沙汰しております。△△株式会社 営業部の○○でございます。
- いつも大変お世話になっております。ご無沙汰しております。
- ご無沙汰いたしております。○○株式会社の△△です。
- 突然のご連絡を失礼いたします。○○の件でご相談がございます。
- ご無沙汰しております。前回は○○の件でお世話になりました。
- ご無沙汰しております。以前の○○に関しまして、再度ご連絡いたしました。
ポイント:
- 冒頭の一文で丁寧な印象を与える
- 「いつもお世話になっております」も併用可
また、相手の体調や業務状況を気遣う一文を加えることで、より信頼感を得られます。
再連絡の目的を丁寧に伝えるコツ

なぜ今連絡したのかを明確に伝えることが信頼感につながります。
例文:
- 本日は、新サービスのご案内についてご連絡差し上げました。
- 今回は、以前ご相談させていただいた件の進捗についてご報告があり、ご連絡いたしました。
- 本日は、今後の協業の可能性についてご意見を伺いたくご連絡いたしました。
- ○○についてご相談があり、メールを差し上げました。
- 以前のご提案について再検討いただけるかと思い、ご連絡いたしました。
- ○○のフォローアップのため、改めてご連絡申し上げます。
ポイント:
- 用件は簡潔に、明確に記載する
- 初めての提案か、継続案件かを明示する
一文で完結できるよう心がけると、相手も内容を理解しやすくなります。
名乗り直しや所属を伝える例文

相手が自分のことを忘れている可能性があるため、自己紹介と所属の明記は非常に重要です。
例文:
- ○○株式会社の△△部に所属しております、□□と申します。
- 以前、御社の〇〇プロジェクトでお世話になりました△△でございます。
- ○○のご案件でご一緒させていただいた○○と申します。
- 過去に□□様とメールでやり取りさせていただいた○○です。
- 昨年の展示会で名刺を交換させていただきました○○でございます。
- ○○セミナーでご挨拶させていただいた□□です。
ポイント:
- 所属や関係性の情報は具体的に
- 相手の記憶を補うつもりで丁寧に伝える
また、部署異動や役職変更があった場合は、それを簡潔に報告することで近況報告も兼ねられます。
返信をもらいやすくする締めくくりの一文

「ご都合の良い際にご確認いただけますと幸いです」「ご一報いただけますと幸いです」など、柔らかく配慮のある表現が適しています。
例文:
- ご確認の上、ご都合のよろしいときにご返信いただけますと幸いです。
- お忙しいところ恐れ入りますが、何卒よろしくお願い申し上げます。
- ご一読の上、ご意見を頂戴できれば幸いです。
- お手すきの際にご返信いただけますと助かります。
- お返事を急ぐものではございませんので、ご都合の良いタイミングでご対応ください。
- 恐縮ではございますが、ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
ポイント:
- 相手の都合を尊重した文言を選ぶ
- 締めの言葉で丁寧さと誠意を示す
返信を強要しない柔らかさと、返答があれば嬉しいという気持ちのバランスが重要です。
ご無沙汰しております 目上 メールでの注意点とマナー

目上の方に対しては、敬意を込めた丁寧語・謙譲語の適切な使用が必要です。
例文:
- ご無沙汰いたしております。○○株式会社の□□でございます。
- 長らくご連絡を差し上げず、誠に申し訳ございません。
- ご無沙汰のままとなってしまい、大変恐縮でございます。
- まずは書中にてお詫び申し上げます。
- ご健勝とご清栄のこととお慶び申し上げます。
- 日頃より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
ポイント:
- 謙譲語や敬語は丁寧すぎるほどがちょうど良い
- お詫びや感謝を忘れずに添える
失礼のないよう、文体や敬語レベルを意識してメール全体のトーンを統一させましょう。
日本語のビジネス文書における敬語の使い方は、信頼と関係性の維持に大きな影響を与えると指摘されています【4】。
ご無沙汰しております 返事に使える丁寧なフレーズ

「ご無沙汰しております」という連絡を受けた際は、「こちらこそご無沙汰しております」と返すのが基本です。
例文:
- こちらこそご無沙汰しております。ご連絡をいただきありがとうございます。
- ご無沙汰しております。再びご連絡いただけてうれしく思います。
- ご連絡いただき、誠にありがとうございます。
- またご連絡をいただき、大変嬉しく思っております。
- 以前は大変お世話になりました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
- 近況をお知らせいただき、ありがとうございました。
ポイント:
- 同じ表現を繰り返すことで調和を意識する
- 感謝や嬉しさを一言添えると好印象
返信は受け取ったことへの感謝と、今後のやり取りを楽しみにしている姿勢を表現することが重要です。
「ご無沙汰しております」と伝えたい時のビジネスメールの例文集 まとめ
- 「ご無沙汰しております」は久しぶりの連絡時に使う丁寧な挨拶表現
- 1ヶ月以上連絡が空いた場合に使うのが目安
- 表現の言い換えには「しばらくご連絡できず申し訳ございません」などがある
- 書き出しは挨拶と名乗りを一文にまとめると自然
- 連絡の目的は簡潔かつ明確に伝えることが重要
- 自己紹介は会社名・部署・名前を具体的に記載する
- 締めくくりは相手の都合に配慮した表現を用いる
- 目上の相手には敬語とお詫び・感謝を丁寧に盛り込む
- 返信を促す際は感謝や嬉しさを伝えると好印象
- 相手との関係性や過去のやり取りに軽く触れると効果的
参考文献
【1】『コミュニケーション行為としての日本語ビジネスメールに関する研究』 https://waseda.repo.nii.ac.jp/record/78403/files/Honbun-9210.pdf
【2】『ビジネスメールにおける日本語の対人配慮の示し方』
https://swu.repo.nii.ac.jp/record/163/files/2015-5.pdf
【3】『ビジネスメールにおけるメタ言語表現から読み取れる待遇意識』 https://www.jstage.jst.go.jp/article/tcg/20/0/20_51/_pdf
【4】『ビジネス日本語における敬語表現の効果とその応用』 https://www.jstage.jst.go.jp/article/tcg/20/0/20_51/_pdf

