約束の時間に来ない相手へのビジネスメール文例と対応術

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約束の時間に来ない相手へのビジネスメール文例と対応術

ビジネスの現場では、打ち合わせや面談などの予定が時間通りに進まないこともあります。特に、約束の時間に来ない相手に対しては、どのように対応すべきか迷う方も多いのではないでしょうか。そうした状況では、感情的にならず冷静に対応することが信頼関係の維持につながります。

本記事では、「約束の時間に来ない相手へのビジネスメール」の対応として、適切な連絡手段や文面の作り方、場面ごとの表現の使い分けについて詳しく解説します。取引先、上司、社内メンバー、顧客など、それぞれの立場に応じたメールの書き方もご紹介しているので、いざというときの参考にしていただければ幸いです。

この記事のポイント!

  • 約束の時間に来ない相手への適切なメール対応の方法
  • 状況別に使える丁寧で配慮あるメール文例
  • 相手の立場に応じた表現の使い分け方
  • 再発防止ややんわりした注意の伝え方
目次

約束の時間に来ない相手へのビジネスメールの対応ポイントとは

まず確認したい、遅刻か未連絡かの判断基準

アカネ

打ち合わせの約束していたナマ田さんが来ないんだけど・・・

コトネ

状況確認が重要よ。打ち合わせの時間に間違えがないかとかを確認するといいわ。

約束の時間になっても相手が現れない場合、最初に確認すべきは「遅れている」のか「連絡を怠っている」のかという点です。これは対応方法に大きく関わってきます。

例えば、5分程度の遅れであれば交通機関の遅延や道に迷っている可能性があります。一方で、10分以上の遅れで事前連絡がない場合は、連絡漏れやスケジュールの勘違いも考えられます。まずはスマートフォンやチャット、メールなどを確認し、何らかの連絡が入っていないかをチェックしましょう。

このように状況を整理することで、メールを送るべきか、もう少し待つべきかの判断がしやすくなります。

約束の時間に来ない相手への基本対応:電話とメールの使い分け

アカネ

とりあえずどうしたらいいかな?

コトネ

携帯の電話番号がわるようなら電話で確認するのがいいわね。

ビジネスシーンで相手が約束の時間に来ない場合、最も基本的な対応は電話です。直接通話できれば状況をすぐに確認でき、無駄な行き違いや誤解を防ぐことができます。

ただし、電話がつながらない、あるいは相手が出られない状況も想定されます。そのような場合には、メールで状況を丁寧に確認するという選択肢が有効です。また、やり取りを記録として残しておきたい場合や、相手が社外の方である場合にも、メールの方が適していることがあります。

この記事では、特に「メールでの対応」にフォーカスして、丁寧で配慮のある表現や具体的な文例をご紹介します。

怒りを抑えて伝えるための心構えと注意点

アカネ

もう!せっかく時間を空けたのにー。

コトネ

落ち着いてメールするといいわ。

予定を破られたとき、つい感情的になりがちですが、ビジネスでは冷静な対応が求められます。相手が遅刻した理由が明確になる前に強い口調で連絡してしまうと、誤解や関係悪化につながるおそれがあります。

そのため、文面では「念のため確認させていただきます」「ご予定に変更があったか確認しております」といった柔らかい表現を用いるのが適切です。

また、怒りや不満をぶつけるのではなく、「状況を把握したい」というスタンスを保つことが重要です。

【1】この点は、ポライトネス理論(Brown & Levinson, 1987)においても「相手のメンツを保ちながら主張する」ことの重要性が指摘されています。

メールを送る適切なタイミングとは

アカネ

メールはSMSがいいかな?

コトネ

状況にもよるわね。だけど、SMSで連絡できる環境ならその方がいいわ。

時間に遅れている相手にメールを送るタイミングは、早すぎても遅すぎても良くありません。一般的には、5〜10分待っても相手が現れず、連絡もない場合に送信するのが適当です。

すぐにメールを送ると、急かされた」と相手が感じてしまうこともありますが、待ちすぎてしまうと機会を逃す可能性もあります。なお、送信時間が昼休みや終業間際などにかかる場合は、相手の状況も考慮するようにしましょう。

適切なタイミングを見極めることで、相手に無理なく配慮のある印象を与えることができます。

相手に配慮した基本のメール文例

件名:本日のご予定についてのご確認

〇〇様

お世話になっております。〇〇株式会社の△△です。

本日〇時よりお約束しておりました打ち合わせについて、現在のところご来社(ご参加)が確認できておらず、念のためご連絡いたしました。

ご移動中、または何かご事情がございましたら、お知らせいただけますと幸いです。

何卒よろしくお願いいたします。

△△

件名:お打ち合わせのご出席について

〇〇様

いつも大変お世話になっております。〇〇株式会社の△△でございます。

本日〇時よりのお打ち合わせについて、現時点でお姿が確認できないため、状況をお伺いさせていただければとご連絡差し上げました。

ご移動中などでご不便をおかけしておりましたら恐縮ですが、何かございましたらご一報いただけますと幸いです。

何卒よろしくお願い申し上げます。

△△

件名:本日のお約束に関してのご確認

〇〇様

お世話になっております。〇〇株式会社の△△です。

本日〇時よりご予定いただいている件について、万が一場所やお時間の認識違いなどございましたらと思い、ご連絡させていただきました。

ご確認のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

△△

迷惑をかけられた側としての適切な表現とは

たとえ相手に非がある場合でも、ビジネスメールでは冷静で敬意ある表現を心がけることが必要です。責めるような口調ではなく、自分の状況を伝える形で意思を表すのが良い方法です。

例えば、「〇〇のためお時間を確保しておりましたが、予定が変更となり困惑しております」といった形で、自身の立場を冷静に表現しましょう。

また、「次回以降のスケジュール調整の参考とさせていただきたく、今回のご事情を教えていただけますと助かります」といった文面を加えることで、相手に配慮を示しながら状況の共有を促すことが可能です。

【2】電子メールにおける誤解の生じやすさは、非対面での文脈の欠如に起因することが研究でも報告されています(藤原, 2012)。

アカネ

言い方ひとつで印象変わるんだね~!

コトネ

まさにその通り、言葉選びが信頼関係を左右するのよ。

約束の時間に来ない相手へのビジネスメール文例集

  • 本日は〇時よりのお約束でしたが、ご都合いかがでしょうか
  • 念のため、ご予定に変更がないか確認させていただきたくご連絡しました
  • まだご来社が確認できておらず、何かお困りごとがないか心配しております
  • ご移動中などであれば恐縮ですが、状況をお知らせいただけますと幸いです
  • ご不在のようでしたので、何かご事情がございましたらお知らせくださいませ
  • お打ち合わせの件、場所やお時間に行き違いがないか念のためご確認ください
  • 万が一予定に変更が生じておりましたら、再調整のご提案も可能です
  • 改めてご都合の良い日程をお知らせいただければと存じます
  • ご連絡がつかない状況のようでしたので、メールにてご連絡差し上げました
  • 次回の調整に向けて、今後の進め方についてもご相談できれば幸いです

予約時間に来ないお客様への丁寧なメール例文

件名:ご予約のご確認

〇〇様

お世話になっております。〇〇クリニックの△△でございます。

本日〇時にご予約をいただいておりますが、現在のところご来院(ご来店)が確認できておりません。

交通状況等のご都合もあるかと存じますので、念のためご確認させていただきました。

何かございましたら、お気軽にご連絡くださいませ。

今後ともよろしくお願いいたします。

△△


件名:再予約のご案内

〇〇様

先日はご来店いただけず、何かご事情があったのではと心配しております。

お手数でなければ、改めてご都合の良い日程をご連絡いただければ幸いです。

ご返信をお待ちしております。

△△

取引先・上司など立場が上の相手への対応例

件名:本日のご予定についてのご確認

〇〇様

いつも大変お世話になっております。〇〇株式会社の△△です。

本日〇時よりお打ち合わせの予定となっておりますが、現在の状況をお伺いしたく、ご連絡差し上げました。

もしお時間や場所に変更などがございましたら、お知らせいただけますと幸いでございます。

今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。

△△


件名:お打ち合わせについてのご確認

〇〇様

本日はお打ち合わせの予定をいただいておりましたが、ご都合に変更が生じているようでしたので、念のためご連絡させていただきました。

ご都合がつかない場合は、改めて日程を調整させていただければと存じます。

何卒よろしくお願いいたします。

△△

同僚・部下など社内向けの表現の工夫

「現在、会議室でお待ちしております。お時間に変更がある場合はご連絡ください」など、状況をシンプルに伝えつつ、催促にならないよう配慮した表現が有効です。

また、同じことが何度も続く場合は、「今後のスケジュール調整のため、できるだけ事前にご連絡いただけると助かります」といった言い回しで改善を促すことができます。


「本日のミーティングですが、まだお越しでないようでしたので確認のためご連絡しました」 「ご予定の時間を過ぎておりますが、何かありましたらお知らせください」

このように柔らかいトーンで伝えると、社内の人間関係を崩さずに配慮のある印象を与えられます。

アカネ

「催促じゃない催促」って…難易度高っ!

コトネ

そうね、言葉のクッション技術が問われる場面なのよ。

遅刻が続く相手へのやんわりとした注意文例

〇〇様

いつもありがとうございます。〇〇株式会社の△△です。

最近のご訪問の際、開始時間に少し遅れるケースが続いており、念のためお知らせさせていただきました。

ご多忙かと存じますが、今後のスケジュール調整のため、可能な範囲でご配慮いただけますと幸いです。

何卒よろしくお願いいたします。

△△


〇〇様

これまでのお打ち合わせで何度かお時間が前後することがございましたので、次回のご予定調整に向けて、可能であれば余裕を持ったお時間設定をお願いできれば幸いです。

引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。

△△

誤解を避けるための表現NG集

意図せず相手を責めるような表現にならないよう、注意すべきフレーズがあります。

  • 「どうして来ないのですか?」→ 責めている印象に
  • 「普通は時間を守るものです」→ 暗に相手を否定している
  • 「またですか?」→ 不満を露骨に表現している

代わりに、

  • 「ご予定に変更があったのではと心配しております」
  • 「何かトラブルがあったかと思い、ご連絡差し上げました」 といった表現に置き換えることで、誤解や対立を避けることができます。

【3】こうしたフレーズの選び方は「フェイス・スレートニング・アクト(face-threatening act)」を回避するために有効であるとされており、【1】で紹介したポライトネス理論とも密接に関係しています。

アカネ

顔が見えないメールって、誤解されやすいよね~。

コトネ

だからこそ、言葉の選び方に細心の注意が必要なのよ。

感情と関係性を守るためにできること感情と関係性を守るためにできること

怒りが収まらないときの対処法と対応術

相手に待たされたことで不快な感情があるときは、まず深呼吸をして冷静さを取り戻すことが大切です。感情に任せてメールを書くと、無意識のうちに言葉が攻撃的になることがあります。

一度下書きに保存して見直す、信頼できる第三者に相談するなどの対処を挟むと、落ち着いた対応がしやすくなります。ビジネスメールでは、感情ではなく「状況の確認」と「対応の提案」に焦点を当てましょう。

また、メールの冒頭に「ご多忙のところ恐れ入りますが」「何かご事情があったのではと心配しております」などのクッションフレーズを加えることで、冷静さを演出することができます。

アカネ

怒ってるときって、ついメールでぶつけちゃいそう~!

コトネ

だからこそ、一度下書きで冷静に整えるのが大切なのよ。

再発防止につなげる、やんわりした注意の伝え方

アカネ

ナマ田さん、次はお願いしますね。

コトネ

「お願い」は指示よりも心に響くのよ。

「念のため、次回からは〇分前を目安にお越しいただけると助かります」 「スムーズに進行できるよう、事前にお知らせいただけますと幸いです」 といった、依頼やお願いの形をとると、相手も受け入れやすくなります。

また、「以前も同様のケースがございましたので、次回以降は〇〇という形で調整できればと思っております」といった形で、事実を冷静に伝えつつ提案に繋げると建設的な印象になります。

このような工夫により、ビジネス関係を保ちつつ、改善を促すことが可能です。


約束の時間に来ない相手へのビジネスメール文例と対応術 まとめ

  • 約束の時間に来ない場合はまず遅刻か無連絡かを判断する
  • 基本は電話で確認し、つながらない場合はメールを活用する
  • 怒りを抑えた冷静な文面で状況確認を行う
  • メールは相手が来ないと判断してから5〜10分後が目安
  • 柔らかい表現を用いた定型文を使うことで印象を良くできる
  • 相手に非があっても責めるのではなく配慮を示す
  • 上司や取引先にはより丁寧かつ尊敬を込めた言い回しにする
  • 社内の同僚や部下にはフランクだが丁寧さを保つことが大切
  • 遅刻が続く相手にはやんわりと注意し改善を促す
  • NG表現を避け、トラブルにならない言い換えを心がける

参考文献

【1】Brown, P., & Levinson, S. (1987). Politeness: Some universals in language usage. Cambridge University Press.
https://doi.org/10.1017/CBO9780511813085

【2】藤原孝章 (2012). “ビジネスメールにおけるメッセージの曖昧性とその調整.” 日本語学研究, 28(3), 55-68.
https://ci.nii.ac.jp/naid/110009476782/

【3】Culpeper, J. (2011). Impoliteness: Using language to cause offence. Cambridge University Press.
https://doi.org/10.1017/CBO9780511975752

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