職場で「来週から1on1を始めます」と言われて、「1on1って何だろう?」「普通の面談とは違うの?」と戸惑ったことはありませんか?
特に新入社員や転職したばかりの方は、上司と1対1で話すと聞くだけで、少し緊張してしまうかもしれません。
「何を話せばいいの?」「仕事の進捗を報告するだけ?」「何も話題がなかったらどうしよう?」と不安になりますよね。
結論から言うと、ビジネスにおける1on1とは、上司と部下が定期的に対話し、仕事の悩みや課題を整理しながら、成長や次の行動につなげるための時間です。
単なる雑談や業務報告とは、少し目的が違います。
大切なのは、立派な意見を発表することでも、上司に良い印象を与えることでもありません。今の自分が何を考え、何に困り、どうすれば仕事を進めやすくなるのかを、一緒に整理することです。
この記事では、1on1の基本的な意味から、目的、進め方、具体的な質問例、よくある失敗まで、新人の方にも分かるように解説します。
初めての1on1でも落ち着いて参加できるように、実際の会話例も紹介していきますね。




この記事で理解できること
- ビジネスにおける1on1の意味と通常の面談との違い
- 1on1を実施する目的と上司・部下それぞれのメリット
- 1on1の準備から終了までの基本的な進め方
- 新人が話すテーマや質問例、失敗を防ぐポイント
1on1とは?ビジネスでの意味
1on1(ワンオンワン)とは、一般的に上司と部下が定期的に1対1で行うミーティングのことです。
英語の「one-on-one」に由来する言葉で、ビジネスでは「1on1ミーティング」や「1on1面談」と呼ばれています。
通常の会議がチーム全体の情報共有や意思決定を目的とするのに対し、1on1では一人ひとりの状況や考えに目を向けます。
例えば、次のようなテーマを話し合います。
- 最近の仕事で困っていること
- 業務を進めるうえで不安に感じていること
- うまくいった仕事と改善したいこと
- 上司やチームに協力してほしいこと
- 今後挑戦したい仕事や身につけたい能力
ここで押さえておきたいのは、1on1は上司が部下から情報を集めるだけの場ではなく、部下の成長を支援するための対話だということです。
上司が質問し、部下が答えるだけではありません。部下自身が話したいテーマを持ち込み、上司と一緒に考えることが重視されます。
例えば、あなたが「仕事の優先順位を決めるのが苦手です」と相談したとしましょう。
上司が「それなら、この順番で進めなさい」と指示するだけで終われば、通常の業務指導に近い会話です。
一方、「どんな場面で迷うの?」「自分では何を基準に考えている?」と一緒に整理すれば、あなた自身が判断する力を身につける機会になります。
これが1on1で大切にしたい考え方です。
1on1は特別な人だけが受ける面談ではありません
新人だけでなく、中堅社員や管理職など、さまざまな立場の人が対象になります。また、直属の上司以外の先輩やメンターと1対1で対話する仕組みを設けている会社もあります。
具体的な対象者や運用方法は会社によって異なります。
人事評価面談や進捗確認との違い

1on1と混同されやすいのが、人事評価面談や業務の進捗確認です。
どれも上司と部下が話す場ですが、主な目的が異なります。
| 項目 | 1on1 | 人事評価面談 | 進捗確認 |
|---|---|---|---|
| 主な目的 | 成長支援・課題解決 | 成果や評価の確認 | 業務状況の把握 |
| 中心となる話題 | 悩み・学び・キャリア | 実績・能力・評価結果 | 作業状況・納期・予定 |
| 対話の進め方 | 部下主体の双方向対話 | 評価者からの説明も重要 | 業務上の確認が中心 |
| 実施頻度の例 | 週1回〜月1回程度 | 半期・年次など | 必要に応じて随時 |
| 目指す結果 | 気づきと次の行動 | 評価や期待値の共有 | 仕事の円滑な進行 |
例えば、営業担当者が上司と話す場面を考えてみましょう。
進捗確認の場合は、「今月の売上はいくら?」「商談は何件進んでいる?」といった確認が中心になります。
人事評価面談の場合は、「目標に対してどのような成果を出したか」「どこが評価されたか」といった内容を扱います。
1on1の場合は、「最近の商談で難しいと感じることは?」「お客様への説明で改善したい部分はある?」など、本人の悩みや成長につながる話題が中心になります。
もちろん、1on1で仕事の進捗や成果について話してはいけないわけではありません。
大切なのは、その話題を単なる報告で終わらせず、本人の学びや課題解決につなげることです。
なお、実際の会社では、1on1の中で評価に関するフィードバックを扱うこともあります。名称だけで完全に区別できるわけではないため、最初に面談の目的を確認しておくと安心ですよ。
1on1を行う目的と期待できる効果
1on1を実施する目的は、部下の仕事を細かく監視することではありません。
主に、本人の成長支援、問題の早期発見、相互理解、キャリア形成などを目指して行われます。
仕事をしていると、小さな疑問や不安が生まれることがあります。
「この進め方で合っているのかな」「最近、仕事がうまく回らない」「本当は別の業務にも挑戦してみたい」など、日常の報告では話しにくいこともありますよね。
そうした考えを定期的に言葉にする機会があれば、問題が大きくなる前に相談できたり、新しい目標に気づけたりする可能性があります。
実際に、リクルートマネジメントソリューションズが2022年に公表した調査では、1on1を導入している企業の回答者のうち、60.1%が「上司と部下のコミュニケーションの機会が増えた」と回答しました。
また、46.5%が部下の状態を把握できるようになったこと、40.2%が本音で話せる関係になったことを挙げています。
ただし、これは調査対象企業の回答者による評価であり、1on1を実施すれば必ず同じ効果が得られるという意味ではありません。
調査対象も全国のすべての企業を代表するものではなく、主要都市圏の企業で人事関連業務に携わる正社員936人です。
調査の詳細は、次の公式発表で確認できます。
(出典:リクルートマネジメントソリューションズ「1on1ミーティング導入の実態調査」)
つまり、1on1には期待できる効果がある一方、実施方法によって成果が変わることも理解しておきたいですね。
上司と部下それぞれのメリット

1on1のメリットは、部下だけにあるわけではありません。
部下が自分の考えを整理できることはもちろん、上司にとっても、普段の会議では見えにくい課題や支援の必要性を把握する機会になります。
| 立場 | 期待できるメリット | 具体例 |
|---|---|---|
| 部下 | 悩みを相談しやすくなる | 仕事の優先順位について相談できる |
| 部下 | 自分の成長に気づける | 以前よりできるようになった仕事を確認できる |
| 部下 | 将来の方向性を整理できる | 挑戦したい仕事や必要な能力を考えられる |
| 上司 | 部下の状況を理解しやすくなる | 業務の負担や困りごとを早めに把握できる |
| 上司 | 必要な支援を考えられる | 教育や担当業務の調整を検討できる |
| 双方 | 認識のずれを減らせる | 仕事への期待や役割を確認できる |
特に新人の場合、「自分がどこまで判断してよいのか分からない」という悩みが生まれやすいものです。
例えば、上司は「ある程度は自分で考えて進めてほしい」と思っているのに、部下は「勝手に判断すると怒られるかもしれない」と感じていることがあります。
この状態では、双方が悪気なく行動していても、仕事が進みにくくなってしまいます。
1on1で「ここまでは自分で判断してよいですか?」と確認できれば、必要以上に迷う場面を減らせるでしょう。
一方、上司も「この説明だけでは判断基準が伝わっていなかったんだな」と気づけます。
こうした小さな認識のずれを調整することも、1on1の大きな役割です。
ただし、1on1を実施しただけで信頼関係が生まれるとは限りません。
パーソル総合研究所と九州大学による2025年の研究では、1on1の実施頻度だけでなく、部下がどの程度話せているか、どのような内容を話せているかと、信頼に関する認識との関連が検討されています。
この研究では、部下の発話量や自己開示の深さが、上司から信頼されていると感じることと関連していました。ただし、頻繁に話したり自己開示を深めたりすれば、必ず信頼が高まると証明されたわけではありません。
研究の詳しい内容は、パーソル総合研究所が公開している解説で確認できます。
(出典:パーソル総合研究所「上司と部下の信頼関係構築に不可欠な『被信頼感』の高め方」)
私は、1on1は開催回数よりも「本人が必要なことを話せたか」「次の行動につながったか」を大切にしたいと考えています。
◆はりたものワンポイントアドバイス
管理人目線で見ると、1on1で大切なのは、部下から何でも聞き出すことではありません。
「上司に相談したら、仕事が少し進めやすくなった」と感じてもらえることが重要です。話を聞いた後の支援や行動まで考えてこそ、意味のある対話になると思いますよ。
なお、社会人としての基本的な報告・連絡・相談や仕事の進め方については、ビジネス基礎とは?仕事の土台をやさしく解説でも紹介しています。
1on1の頻度と時間の目安
「1on1はどのくらいの頻度で行うものなの?」という疑問も多いと思います。
一般的には、週1回〜月1回程度、1回15〜30分ほどが実施例として紹介されることがあります。
ただし、これは統一されたルールではありません。
実際には、会社の方針や仕事の内容、本人の経験、相談したいテーマによって適切な頻度や時間が変わります。
企業によって運用方法もさまざまです。
| 企業・組織 | 実施頻度の例 | 時間の例 |
|---|---|---|
| Yahoo! JAPAN | 原則週1回 | 約30分 |
| 週1回または隔週など | 30〜60分程度 | |
| SmartHRの実践例 | 隔週から調整 | 30分から調整 |
| GitLab | 少なくとも週次の接点を推奨 | 一律の時間指定なし |
これらは各企業が公開している代表的な実践例であり、すべての社員に同じ条件が適用されることを示すものではありません。
例えば、Googleは2013年の公式ブログで、週1回30分の1on1を行う実践を紹介しています。また、週1回が多すぎる場合には、隔週や月1回などを検討する考え方にも触れています。
(出典:Google公式ブログ「Using 1:1s to communicate with your employees」)
例えば、新人のうちは仕事の内容や社内ルールが分からず、相談したいことが頻繁に生まれるかもしれません。
その場合は、比較的短い間隔で1on1を設けることで、疑問を整理する機会を作れます。
一方、仕事に慣れている社員の場合、隔週や月1回などに調整し、その分じっくり振り返る方法も考えられます。
私なら、最初から「毎週30分が正解」と決めつけるのではなく、本人の状況を聞きながら調整したいですね。
初めての1on1で意識したいこと
最初は30分程度を一つの目安にし、仕事の悩みや相談したいテーマを中心に話すと進めやすくなります。
時間が足りない場合は次回に持ち越し、話題が少ない場合は頻度や進め方を見直しても構いません。
大切なのは、時間を使い切ることではなく、必要な対話を継続できることです。
また、リモートワークの場合は、オンライン会議や共有文書を組み合わせる方法もあります。
GitLabでは、直接話す機会と文書によるやり取りを組み合わせた運用方法が公開されています。
ただし、重要な相談をすべて文書だけで済ませるのが適切とは限りません。相手の様子や話題の重要性に応じて、対面やオンラインで直接話す機会も確保したいところです。
そして、もう一つ覚えておきたいことがあります。
急ぎの相談は、次の1on1まで待つ必要はありません。
納期に間に合わない可能性がある場合や、取引先への対応で判断が必要な場合などは、その時点で上司に相談しましょう。
1on1は日常の報告・連絡・相談を置き換えるものではなく、それらを補う仕組みです。
1on1の準備と基本的な進め方
ここからは、実際に1on1を行う際の進め方を紹介します。
初めての場合、「何を準備したらいいの?」「上司から質問されるまで待っていればいいの?」と迷うかもしれません。
難しく考えなくても大丈夫です。
基本的には、事前準備 → 近況と課題の共有 → 次の行動の確認という流れで考えると分かりやすくなります。
30分の1on1を想定した進め方の例を見てみましょう。
| 時間の目安 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| 最初の3分 | 近況や仕事の状態を共有 | 話しやすい雰囲気をつくる |
| 次の10分 | 本人が話したいテーマを共有 | 悩みや課題を言葉にする |
| 次の7分 | 課題の原因や選択肢を整理 | 解決の方向性を考える |
| 次の7分 | 成長や改善点について対話 | 今後の仕事に生かす |
| 最後の3分 | 次の行動と支援内容を確認 | 話し合いを行動につなげる |
この時間配分は、進め方をイメージしやすくするための一例です。
毎回すべての項目を話す必要はありません。深刻な悩みがある日は、そのテーマだけで30分使ってもよいでしょう。
では、それぞれの段階で何をすればよいのか、具体的に見ていきます。
事前に話したいテーマを整理する

1on1を有意義にするためには、事前に少しだけ準備しておくと安心です。
といっても、詳しい資料を作ったり、立派な意見を用意したりする必要はありません。
「最近気になっていること」を2〜3個メモしておくだけでも十分です。
例えば、こんな内容です。
新人向け・1on1の準備メモ例
【最近うまくいったこと】
お客様への電話対応に少し慣れてきた
【困っていること】
複数の仕事を頼まれると優先順位が分からなくなる
【相談したいこと】
急ぎの仕事が重なったときの判断基準を知りたい
【上司に確認したいこと】
自分だけで判断してよい範囲を教えてほしい
この程度のメモがあれば、話し始めやすくなります。
もし話題が複数ある場合は、「今日、一番解決したいこと」を決めておくのがおすすめです。
例えば、「優先順位について相談する」というテーマに絞れば、30分の中でも具体的な話がしやすくなります。
また、上司側も準備が必要です。
前回の1on1で約束したことや、部下の業務状況を確認しておくと、話がつながりやすくなります。
例えば、前回「資料作成の手順を説明する」と約束していたのなら、その後どうなったかを確認します。
上司だけが質問を用意するのではなく、双方が少しずつ準備することが理想的です。
なお、初めての1on1では、最初に目的や進め方を確認しておくのも大切です。
「この時間は主にどんな話をする場ですか?」「話した内容は誰まで共有されますか?」と確認しておくと、安心して参加しやすくなります。
◆はりたものワンポイントアドバイス
私が大切にしたいのは、準備のために余計な負担を増やさないことです。
1on1のたびに長い資料を作るようでは、面談そのものが負担になってしまいますよね。日々の仕事で「あれ?」と思ったことを一言メモしておく。それだけでも十分な準備になります。
近況や悩みを共有して課題を深掘りする

1on1が始まったら、まずは最近の仕事の様子や気になっていることを共有します。
いきなり難しい質問をする必要はありません。
上司から「最近、仕事はどう?」「何か困っていることはある?」と声をかけてもらえると、部下も話し始めやすいでしょう。
ただし、「大丈夫?」「問題ない?」と聞くだけでは、「はい、大丈夫です」で終わってしまうことがあります。
そこで役立つのが、本人が自由に説明できる質問です。
| 質問の目的 | 質問例 |
|---|---|
| 近況を知る | 最近の仕事で印象に残っていることは? |
| 困りごとを把握する | 今、一番進めにくいと感じる仕事は? |
| 原因を整理する | どの部分で判断に迷っていますか? |
| 本人の考えを知る | 自分ではどう進めたいと考えていますか? |
| 支援を考える | どんなサポートがあれば進めやすいですか? |
例えば、新人が仕事の優先順位に悩んでいる場合を考えてみましょう。
部下:「最近、仕事が重なると、何から始めればいいのか分からなくなります」
上司:「そうなんだね。特にどんな場面で迷うことが多い?」
部下:「複数の先輩から同時に仕事を頼まれたときです。どちらも急ぎに感じてしまいます」
上司:「なるほど。今はどんな基準で順番を決めている?」
部下:「頼まれた順番に進めています。でも、それでいいのか不安です」
上司:「それなら、期限と影響の大きさを確認する方法を一緒に考えてみようか」
このように対話を進めると、最初は漠然としていた「仕事がうまく進まない」という悩みが、「優先順位の判断基準が分からない」という具体的な課題に変わっていきます。
これが1on1の重要な部分です。
問題を整理できれば、必要な支援も考えやすくなります。
ただし、上司が質問を重ねすぎると、部下が尋問されているように感じる場合もあります。
質問の数を増やすより、相手の話を最後まで聞き、必要に応じて確認することが大切です。
GitLabの公式ハンドブックでは、1on1でマネジャーの発話を約20%、部下の発話を約80%にすることが、一つの実務上の目安として紹介されています。
これは科学的に決められた正解の割合ではありませんが、部下が十分に話せる時間を確保する考え方として参考になります。
(出典:GitLab公式ハンドブック「1-1」)
無理に個人的な事情を話す必要はありません
1on1では仕事以外の話題を扱うこともありますが、家庭の事情や健康状態など、話したくない内容まで説明する必要はありません。
また、上司は相手の同意なく私生活に踏み込みすぎないよう配慮することが大切です。
仕事への影響や必要な支援だけを共有する方法もあります。
1on1の冒頭で軽い雑談をすること自体は問題ありません。
天気や最近の出来事などを話すことで、緊張がほぐれる場合もあるでしょう。
ただし、雑談だけで終わるのではなく、本人が話したいことや次の行動につなげる意識を持つことが重要です。
次の行動と支援内容を決める

1on1では、話し合った内容を次の仕事にどう生かすかまで考えましょう。
どれだけ良い話ができても、「勉強になりました」で終わってしまうと、日常の行動が変わらないことがあります。
そこで最後に確認したいのが、誰が・何を・いつまでに行うかです。
例えば、先ほどの優先順位の相談なら、次のように整理できます。
1on1終了時の確認例
【相談した課題】
複数の仕事を頼まれたとき、優先順位を判断しにくい
【部下が行うこと】
新しい仕事を依頼されたら、期限と優先度を確認する
【上司が行うこと】
判断に迷った際の相談先と優先順位の基準を共有する
【確認するタイミング】
次回の1on1で、実際に迷った場面を振り返る
ここまで決められれば、1on1で話した内容を日常業務につなげやすくなります。
また、次の行動は部下だけに任せるものではありません。
上司が情報を提供したり、仕事を調整したり、必要な人に相談できるよう手配したりする場合もあります。
むしろ、上司側の支援が必要な問題を、部下の努力だけで解決しようとしないことが大切です。
例えば、人手不足や業務量の偏りが原因で仕事が進まない場合、「もっと効率よく頑張ろう」という結論だけでは十分ではありません。
業務分担や期限の調整など、管理者が対応すべき課題もあります。
1on1の最後には、上司から「私が対応することは何かある?」と確認できると、より実務的な話し合いになります。
さらに、決まったことは簡単に記録しておくのがおすすめです。
会話の全文を書き残す必要はありません。
「相談内容」「決まったこと」「担当者」「期限」の4点を押さえるだけでも、次回の確認がしやすくなります。
ただし、記録内容には個人情報や評価に関係する話題が含まれる場合があります。会社の情報管理ルールを守り、必要以上に共有しないよう注意しましょう。
新人が1on1で話すことと質問例
1on1の進め方が分かっても、実際に参加すると「自分から何を話せばいいんだろう?」と迷うことがあると思います。
特に新人のうちは、経験が少ないため、相談するほどの悩みがないと感じるかもしれません。
ですが、1on1では大きな問題や特別な成果だけを話す必要はありません。
日常業務で感じた小さな疑問や、少し気になっていることも立派なテーマになります。
例えば、「この仕事の目的をもっと理解したい」「先輩のように説明できるようになりたい」といった前向きな話題でも構いません。
また、上司への質問も遠慮する必要はありません。
1on1は一方的に質問される場ではなく、あなた自身が必要な情報を確認する場でもあるからです。
話すことがないときのテーマ例

「1on1で話すことがありません」と感じたら、まずは最近1週間ほどの仕事を振り返ってみましょう。
何か特別な出来事がなくても、仕事をする中で疑問に思ったことや、以前よりできるようになったことがあるかもしれません。
次の表から、今のあなたに近いテーマを探してみてください。
| テーマ | 新人が使える質問例 |
|---|---|
| 仕事の優先順位 | 複数の依頼が重なった場合、何を基準に判断すればよいですか? |
| 期待される役割 | 今の私に特に期待していることは何ですか? |
| 業務の改善 | 最近の仕事で改善した方がよい部分はありますか? |
| 仕事の理解 | この業務は、会社全体のどの仕事につながっていますか? |
| 成長の確認 | 入社当初と比べて、成長できている部分はありますか? |
| 今後の目標 | 次に身につけると役立つ能力は何ですか? |
| 職場での連携 | 他部署と連携するときに注意することはありますか? |
| 上司への相談 | どの段階で相談するのが適切ですか? |
| 新しい挑戦 | 今後、挑戦できそうな仕事はありますか? |
例えば、仕事で大きな失敗をしていなくても、「今のやり方でもっと効率を上げる方法はありますか?」と質問できます。
あるいは、最近できるようになった仕事について「この進め方で問題ないでしょうか?」と確認するのもよいでしょう。
何も困っていないこと自体が悪いわけではありません。順調な理由を振り返ったり、今後挑戦したいことを話したりするのも有意義です。
また、どうしても話題が思いつかないときは、そのまま伝えても構いません。
部下:「今は大きく困っていることが思いつかないのですが、今後の成長について相談してもいいですか?」
上司:「もちろん。これからできるようになりたいことを一緒に考えてみようか」
このような始め方でも、十分に1on1として成立します。
逆に、仕事で失敗したことを隠すために、無理やり別の話題を用意する必要もありません。
失敗した原因や再発防止策について、落ち着いて相談することも大切です。
ただし、対応を急ぐミスやトラブルは、1on1まで待たずに報告しましょう。
◆はりたものワンポイントアドバイス
新人のうちは「こんな小さなことを聞いていいのかな?」と思うかもしれません。
でも、管理する立場で考えると、小さな疑問を早めに共有してもらえる方が、必要な説明や調整をしやすいこともあります。
大切なのは、立派な相談をすることではなく、仕事を前に進めるために必要なことを伝えることですよ。
なお、部下が相談しやすい環境をつくるためには、上司側の受け止め方も重要です。
おひたし・さしすせそとは?ビジネス用語解説では、相手の話を受け止める姿勢や、職場のコミュニケーションで意識したいポイントを紹介しています。
1on1でよくある失敗と注意点
1on1は、定期的に上司と部下が話せば、それだけで成功するわけではありません。
実際には、「上司ばかり話して終わる」「毎回同じ内容になる」「話したことが仕事に反映されない」といった問題が起こることもあります。
リクルートマネジメントソリューションズの2022年の調査では、1on1の課題として、上司の面談スキル不足を47.2%、上司の負荷増大を44.6%の回答者が挙げています。
つまり、1on1を制度として導入するだけでなく、実施する側の準備や継続的な改善も必要だということです。
ここでは、特に気をつけたい失敗と、その対処法を整理します。
一方的な指示や進捗報告にしない

1on1でよくある失敗の一つが、上司が話しすぎてしまうことです。
例えば、30分のほとんどを上司からの指示や注意で使ってしまうと、部下が自分の考えを話す時間がなくなります。
もちろん、仕事上の指導や改善点の説明が必要な場面もあります。
ただし、毎回それだけで終わってしまうと、1on1本来の目的である成長支援や相互理解が薄れてしまいます。
特に注意したいのが、上司が答えを先に決めつけてしまうことです。
例えば、部下が「お客様への説明がうまくできません」と相談したとします。
上司がすぐに「もっと勉強しなさい」と答えるだけでは、何が問題なのか分からないままです。
一方、「どんな質問をされたときに困る?」「説明の準備で難しい部分はある?」と確認すれば、原因を整理できます。
原因が商品知識の不足なら教育が必要かもしれませんし、説明する順番が分からないなら、話し方の練習が役立つかもしれません。
同じ「説明が苦手」という悩みでも、必要な対応は異なります。
だからこそ、部下の話を聞いてから、適切な助言や支援につなげることが大切です。
ただし、すべての場面で部下自身に答えを考えさせればよいわけではありません。
安全上の注意や法令・社内規程に関わる判断、緊急対応などでは、上司が明確に説明・指示する必要があります。
本人の考えを引き出すことと、必要な指導を行うことは、状況によって使い分けましょう。
1on1を叱責や圧力の場にしない
1on1は、部下が安心して相談できることが重要です。
一方的な叱責、人格を否定する発言、私生活についての過度な詮索などが繰り返されると、かえって相談しにくくなる可能性があります。
また、1on1で話した内容が絶対に秘密になるとは限りません。記録や情報共有の範囲は、会社の規程や相談内容によって異なります。
職場のハラスメントなど、直属の上司に相談しにくい問題は、人事担当者や社内外の相談窓口など、別の相談経路も検討してください。
1on1の目的は、部下に何でも話させることではありません。
必要な内容を、適切な相手と、安心して話せる環境を整えることが大切です。
記録と振り返りで形骸化を防ぐ

もう一つ気をつけたいのが、1on1の形骸化です。
形骸化とは、本来の目的が薄れ、実施すること自体が目的になってしまう状態を指します。
例えば、毎週30分の1on1を開催していても、毎回「最近どう?」「特に問題ありません」で終わっているなら、進め方を見直す余地があります。
もちろん、問題がないことを確認する意味はあります。しかし、せっかく時間を確保するなら、本人の学びや成長につながる会話もしたいところです。
形骸化を防ぐためには、前回の1on1で話した内容を振り返ることが役立ちます。
例えば、前回「資料作成の手順を見直す」と決めたのであれば、その後どうなったかを確認します。
改善できたなら、何が役立ったのかを振り返ります。うまくいかなかったなら、別の方法や追加の支援を考えます。
このように、1on1を一回ごとの独立した面談ではなく、継続した対話として考えることが大切です。
簡単な1on1記録の例
【実施日】10月17日
【相談テーマ】業務の優先順位
【気づいたこと】期限だけでなく、他部署への影響も確認する必要がある
【自分が行うこと】依頼を受けた時点で優先度を確認する
【上司が行うこと】優先順位の判断基準を説明する
【次回確認すること】判断に迷う場面が減ったか
このような簡単な記録があるだけでも、次回の1on1で話を続けやすくなります。
ただし、すべての会話を詳細に記録する必要はありません。特に個人的な悩みや機微な情報については、本人と記録・共有の範囲を確認し、会社の規程に沿って適切に管理しましょう。
また、1on1自体が役立っているかを確認することも重要です。
例えば、「最近の1on1で話したいことは話せていますか?」「時間や頻度を変えた方がいいですか?」と確認するだけでも、改善のきっかけになります。
私が管理人として大切にしたい判断基準は、「面談を何回実施したか」ではなく、「面談によって仕事が少しでも前に進んだか」という点です。
1on1はあくまで手段です。形を守ることより、実際の仕事に役立つことを重視したいですね。
1on1に関するよくある質問(FAQ)

最後に、1on1について新人の方が疑問に感じやすいポイントをまとめました。
Q1. 1on1と普通の面談は何が違うのですか?
人事評価面談では成果や評価結果の確認が中心になりますが、1on1では仕事の悩み、学び、今後の目標など、より幅広い話題を扱います。
ただし、会社によって運用方法が異なるため、面談の目的や評価との関係を確認しておくと安心です。
Q2. 1on1で話すことがない場合はどうすればいいですか?
最近うまくいった仕事や、以前よりできるようになったこと、これから挑戦したいことなどを話してみましょう。
また、「今は大きな悩みがありませんが、次に身につけるべき能力について相談したいです」と伝える方法もあります。
大切なのは、立派な話題を用意することではなく、自分の仕事を振り返ることです。
Q3. 1on1は週1回行わなければいけませんか?
週1回、隔週、月1回など、会社や本人の状況によってさまざまです。
新人のように疑問が多い時期は、比較的短い間隔で実施する方法もあります。
頻度よりも、必要な相談ができているか、話した内容が次の行動につながっているかを確認しましょう。
Q4. 1on1で話した内容は人事評価に影響しますか?
1on1の中で具体的な成果や改善点についてフィードバックを受ける場合もあります。
気になる場合は、「この面談の内容は人事評価にも利用されますか?」と確認しておくとよいでしょう。
また、個人的な事情など、話したくないことまで無理に伝える必要はありません。
Q5. 1on1で上司に本音を話しても大丈夫ですか?
いきなりすべてを話す必要はありません。まずは具体的な困りごとや、必要な支援を伝えるところから始める方法もあります。
また、面談の内容が誰に共有されるのか確認することも大切です。
直属の上司に相談しにくい問題がある場合は、人事担当者や社内外の相談窓口など、別の相談先を利用することも検討しましょう。
まとめ|1on1は悩みを行動につなぐ対話
1on1とは、上司と部下が定期的に1対1で対話し、仕事の悩みや課題を整理しながら、成長と次の行動につなげるための仕組みです。
単なる雑談や業務報告ではなく、本人が自分の考えを言葉にし、必要な支援を受けながら仕事を前に進めることに意味があります。
この記事のまとめ
- 1on1は部下の成長や課題解決を支援するための定期的な対話
- 人事評価や進捗確認とは主な目的が異なる
- 頻度や時間は会社や本人の状況に合わせて調整する
- 新人は小さな疑問や仕事の悩みをテーマにしてもよい
- 上司は一方的に指示するのではなく、本人の考えを引き出す
- 最後に次の行動と必要な支援を確認することが大切
初めての1on1では、緊張してうまく話せないこともあると思います。
でも、最初から完璧に話す必要はありません。
「今、何に困っているのか」「自分はどうしたいのか」「どんな支援があれば進めやすいのか」を少しずつ整理できれば、それだけでも前進です。
そして、上司にとっても、1on1は部下を評価するだけの時間ではなく、相手を理解し、必要な支援を考える機会です。
ヒロイヨミノ森では、ビジネスマナーや仕事の進め方を、形だけの正しさではなく、相手への配慮を形にして仕事を前に進めるためのものとして考えています。
1on1も同じです。
大切なのは、30分話したという事実ではなく、その対話によって次の一歩が見えること。
次の1on1では、まず一つだけ、今のあなたが気になっていることを話してみてください。
その小さな相談が、仕事を進めやすくするきっかけになるかもしれませんよ。
